常磐線快速(上野東京ライン)の新松戸駅停車実現が具体化?千駄堀新駅との関連は?

常磐線快速(上野東京ライン)の新松戸駅停車問題は、長らく松戸市及び武蔵野線沿線・常磐線沿線の住民や関係自治体にとって懸案の一つになっています。

しかし、その懸案もようやく実現に向けて、動き出しているようです。

2020年12月に開催された松戸市議会の定例会で政策実現フォーラムの原裕二議員が、”新松戸地区のまちづくり”についての関連質問で、以下のような質問をしました。



原裕二議員の質問内容と松戸市側の回答内容 ※まつど議会だよりから引用

原裕二議員の質問内容

”常磐線快速列車新松戸駅停車の費用負担と経済波及効果は。
また、新松戸駅東側地区土地区画整理事業と一連との説明だったが、快速停車の実現は、同時期ではなく後になると思うが、市の見解を伺う。”

※新松戸駅東側地区土地区画整理事業とは
松戸市は新松戸駅東側地区で、健全な市街地の形成と地区の課題である狭あい道路の解消、駅前広場や下水道・斜面緑地の整備などを目的として市施行にて立体換地を活用した土地区画整理事業を計画。

令和元年8月16日に千葉県知事から認可を得て、事業を実施ことが決定されています。
対象地区は、幸谷字宮下、字溜ノ脇の各一部、約2.6ヘクタール。

松戸市側の回答内容

費用負担は、他市の事例等を参考に調査している。経済波及効果としては、本市の交流拠点の一翼を担っているJR新松戸駅に快速電車が停車した場合に、上野東京ラインを利用した交通利便性がさらに高まり、新松戸地域及び周辺地域の活性化や魅力が飛躍的に向上するものと考える。

また時期は、現段階で明確に答えられないが、千葉県や常磐線沿線自治体と連携しJR東日本に要望している。

上記の松戸市側の回答内容により、常磐線快速(上野東京ライン)の新松戸駅停車実現の可能性が浮上と言えそうです。




実際、本郷谷松戸市長は、平成29年4月21日にJR東日本に対して以下のような要望をしています。

本郷谷松戸市長のJR東日本への常磐線快速(上野東京ライン)の新松戸駅停車実現に関する要望内容

東日本苑客鉄道線式会社
常務取締役 東京支社長
前 川 忠 生 様

常磐線快速列車の新松戸駅停車の実現に向けた要望について

陽春の候、貴職におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し
上げます。

J R新松戸駅につきまLては、J R常磐線緩行線とJ R武蔵野線
の交差駅となっており、本市交流拠点の一翼を担っておりますが、
常磐線快速停車の実現により、上野東京ラインを利用した交通利便
性がさらに高まり、新松戸駅周辺の魅力を飛躍的に向上させるもの
と思慮しているところでございます。

快速停車実現に向けた勉強会を平成27年度から実施しているとこ
ろでございますが、この快速停車が実現できるよう、発展的な勉強
会を開催してくださいますよう併せてお顔い申し上げます。

平成29年4月21日、、
松戸市長 本郷谷 健次




常磐線快速列車の新松戸駅停車の実現には、大きなハードルがあると指摘されています。具体的には以下のようなことになります。

常磐線快速列車の新松戸駅停車の実現のハードルとは?

①快速列車停車用ホーム問題
現行のJR新松戸駅は、1974年に武蔵野線が開通したときに、常磐線との乗り換えのために作られたという経緯から、そもそも常磐線快速の停車を想定していない駅構造になっています。

また、快速電車が現在、走行している線路周辺には、ホームを新設するほどの土地はありません。

従って、常磐線快速列車専用のホームを現在の新松戸駅から離れた場所に新設する必要が高く、具体的にどうするかといった段階で難航する可能性が高いです。

松戸市が常磐線快速列車の新松戸駅停車について、”新松戸駅東側地区土地区画整理事業と一連”というスタンスなのは、こうした問題を念頭に置いているからだと思います。

②武蔵野線千駄堀新駅(仮称)との優先度のハードル
同じ松戸市内では、やはり武蔵野線の新松戸駅~新八柱駅の間の松戸市立医療センター近くに千駄堀新駅(仮称)を開設する動きもあります。

こちらのほうは、松戸市最大の医療施設である松戸市立医療センターへの交通アクセスの向上という大義名分がありますので、JR東日本側から常磐線快速列車の新松戸駅停車とどちらを優先するのかと問われる可能性があるのではないかと思います。

いずれにしろ、どちらのケースとも松戸市は相応の経済負担をする必要があるうえ、JR東日本自体もコロナ禍で赤字決算となる等、以前と比べ経営状況が余裕がなくなっていることも逆風となっています。

松戸市の財政状況から、常磐線快速列車の新松戸駅停車と千駄堀新駅(仮称)と同時併行で開発を進めるというのは難しいのではないかと思います。

まとめ

①常磐線快速(上野東京ライン)の新松戸駅停車問題は、長年の懸案レベルから、2020年から進行中の新松戸駅東側地区土地区画整理事業と関連づけられた具体的な課題となっています。

②常磐線快速の新松戸駅停車には、専用のホームをどこに設置するのか、同じ松戸市内で検討が進められている千駄堀新駅(仮称)との優先度をどうするのかといった課題が多く、実現するまでのハードルは高いのが現状



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